銀彩(ぎんさい)とは銀箔を貼り付けて、その上から釉薬(ゆうやく)を施す技法です。釉薬には透明釉や九谷五彩が用いられ、下に貼った銀箔が透き通って見えるようになっています。銀彩により2色以上の釉薬を合わせて使うことでグラデーションを作ることができ、より豊かな彩色表現が可能となります。
特定の形に切った銀箔を透明な釉薬の下に貼る「釉裏銀彩(ゆうりぎんさい)」の技法で石川県指定無形文化財に認定されています。作品には青をベースとした「淡青釉裏銀彩」と桜を思わせる色合いの「淡桜釉裏銀彩」、また黒をベースにしたものなどが多くあります。釉裏銀彩は、綺麗でとても落ち着いた表情を持っていますが、スポットライトなどで照らすと、銀箔の部分が浮かび上がり、より美しい輝きを見ることができます。一つ一つが手作業で行われるため、同じものが1つとありません。またこの銀箔の輝きはガラス釉で覆われているため、いつまでも変わらぬ美しさを保つことができます。
芸術の都・パリで7月、現代の九谷焼を代表する作家3氏の大作3点が展示されました。作家側が総額で800万円相当となる大作1点ずつを寄せ展示し、現地に寄贈となりました。進化を続けてきた加飾の美を「現代のジャパン・クタニ」として、欧州の人々に伝える機会となりました。
中田一於氏の作品も展示され、9月4日までフランス文化省のギャラリー「パレ・ロワイヤル」で公開されています。
明治時代、緻密な装飾が施された九谷焼の飾り壺、大皿は「ジャパン・クタニ」としてパリを含む欧米に盛んに輸出された経緯があります。「日本」という遠い国の異国情緒と一体となってもてはやされ、当時の九谷焼は今も欧州各地に伝来されています。
中田一於氏の釉裏銀彩は、昭和に入ってから編み出された技法であり、壺は凹凸のある新しい形にした。独特の仕事をみせたいと伝統を守ると同時に常に新しい事への挑戦にも積極的です。
日本工芸会正会員 一水会陶芸部会員
昭和49年 | 石川県クラフトデザイン協会会長賞受賞 一水会入選、以来連続入選 |
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昭和53年 | 日本伝統工芸展入選、以来連続入選 |
昭和56年 | 石川県伝統産業技能奨励賞受賞 |
昭和58年 | 朝日陶芸展入選 一水会陶芸部会員に推挙される |
昭和59年 | 中国国際陶芸展入選、以来4回入選 |
平成元年 | 一水会員優勝受賞 |
平成 3年 | 日本伝統工芸展鑑査委員に推挙 |